第80章 78.
「や、びゃめっ…」
痺れの為か、上手く舌が回っていないみたいだな…。全身を駆け巡る電気はどうやら有効らしい。
痺れてプルプルした手で叩くように腕を振り払われ、風神は両手をこちらへ向けた。
来る…!あの時のように風で私を吹き飛ばす気だ。
片方の瞳に怒りを感じられた。
「ヤメロォォォォ!!!」
斜め上へと吹き上げられる風。
抵抗する暇を見出せなかった私は上空へと投げ出された。ゼニールの…金のウンコが乗ったビル。広い屋上は四角く小さく見えた。
上から見ると小さな男が見える。私をフェンスに寄りかかりながら見上げているのは、ゾンビマン。私の名前を叫んでいるのが聞こえる。
その小さな人に向かって、可能な限りの大声で叫んだ。
『私の事はいい!すぐに体勢を整えて戻るから!』
宙で風を起こし、体勢を整え下へと落ちていく。
小さなビルではあるけれど、あそこで良いや。着地する前に落下速度を下げ上手く着地した。
さて、すぐにでも戻りたい所だけれどまずはしなくてはいけない事がある。
携帯を取り出し、協会本部へとかけた。周りを確認しながら、協会も者が出た所で翼の音が聞こえる。
『風雷暴のハルカです!たった今、F市の指定の場所にて風神とその他と遭遇したので報告させて頂きます!』
戦いに専念しますので、これで。そう言って通話を切る。少々早口で伝えるのも切るもの一方的だけれど仕方がない。敵は待ってくれるとは限らないのだし。
バサバサと煩い大きな翼を持った怪人が目の前に足を着地させた。天空族と思われる者だ。
「お前…ヒーローの者だな?」
携帯を仕舞い、『そうだ、と言ったら?』と天空族の者に聞く。いや、聞くまでもないだろうな。
走りながら翼を動かし、より加速させる。腕を振りかぶった。はぁ、接近戦用に武器があって良かった。
私は脇差を取り、急いで電気を流し込む。