第79章 77.
再び前を向くとフードを外し、爛れた顔で歪な笑みを浮かべた風神。
一部残った頭皮から生える髪は私と同じく白い。光を受けて銀色に見える。風で私の髪と風神の髪が混ざる。
非常に近い距離だ。私から50センチといった所か。
「そんなソヨカゼじゃ、ナナジュウナナゴウに勝ち目……無い」
健康的な一部の肌の中心、片目が笑う。
風が止んだ。急だったので、私は前のめりに風神に倒れ込んだ。
「オマエは良いトコロばかり、ワタシから…奪った。デモ…強さだけは、ワ、ワタシの方が上だったな…」
『それは…どうだろうね?』
私は彼女の腕を掴んだ。
急な事で驚いたのか、それとも微力だと思ったのか。すぐには抵抗されなかった。
私は掴む手に電気を流し込む。雷レベルではなく、電気で肉が焼けるくらいに。
これは、私の雷神の力が風神に効くかどうかのテストを兼ねてやった事だった。
私自身は電気に関してはノーダメージ。耐性が出来ている。雷神という意味を持ってるからなのか、クローンだからなのかは知らない。けれど、昔電線がバチバチと火花を上げている所に遭遇して、素手で対処した事があった。
死ぬんじゃないかって考えもあったけれど、何故か妙な自信があった。そして、電気関係には強いという事が分かった。
恐らく…雷が落ちても平気なのかも知れない。
「あっ、アア、ア゙ア゙ァァッ!?」
流し込んだ電気がバババッと音を鳴らし、掴んだ腕の筋肉が痙攣するのを感じた。