第78章 76.
ガラス張りの風除室がガタガタと煩い。すきま風が大きなガラスを揺らしているようで、今にも割れそう。嵐が来たように、恐ろしい音を立てる風。
広い屋上のど真ん中、数枚の枯れ葉や紙くずがカサカサと音を立てて集まる。その中央にまるで砂が集まっていくように1人の人物を作り上げていく。
足下、そして白いローブ。ああ、これは間違いない、彼女だ。
被ったフードの天辺までを作り上げた風は気味の悪い無風となる。さっきまで大気が唸り声を上げるような音は一切ない。
完全な姿の白いフードの人物は数歩こちらに歩み寄った。
「ウウッ…ちゅ、忠告したのに、…コ、懲り、懲りないな、オマエは」
私を指さし、小さく笑い声を発すると力無く手を下げる。
「ひひ、ヒトリで勝てないから、ナナジュウナナゴウは仲間を呼んだ。お、オマエが悪いんだからナ」
「あ?何を言ってるんだ?お前」
気味の悪い、無風の屋上。
隣で銃の安全装置を外した音がはっきりと聞こえた。