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風雷暴見聞録

第77章 75.


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うんと、この辺りだったかな?
人混みの中、1人調査をする。私の名を呼んで、カメラで撮る人も居る。
…うん、やはりこの辺りだ。

はっきりと分からないけれど、ある程度の場所は分かる。
場所は分かってもどいつが怪人なのかは向こうが始めに動きを見せないと分からない。つまり、誰か犠牲にならないと私から攻撃する事が出来ない。
それは下手したら最初の人間が死に至る事もありえる。そして一般人には手を出さず、ヒーローを狙うガロウという者も居る。

人の視線を浴びながら、慎重に様子を窺った。近くにベンチも在る事だし、座っていようか。
数十分、様子を見ても何も起こりはしない。おかしいな…。流石に1時間も待っても意味が無いかもしれない。馬鹿な怪人ではなく、警戒心の強いやつだったのだろう。

次に近い怪人の場所を探り、私は隣町へと向かった。
地上を駆け抜けていくのは人が沢山いると走る事が出来ない。
前の様に、民家や屋上、電柱を掛けた方が何処に行くにも速いんだけれどなぁ。風神の件が片づかない限りは無理そう。勝てると過信して、複数人に囲まれてしまったら勝てる自信は流石に無かった。

私は隣町に着き、暴れている最中の怪人を倒して買い物を済ませた。
そして気になってZ市で怪人の気配を感じたあのベンチ付近に行ったけれども、もう怪人の気配は感じず、被害は何も無かったと聞いた。
……あれは一体、何だったんだろう?


──この日の夜、J市にて派遣されていた童帝とキングが風神に遭遇したという情報が携帯に送信された。
かすり傷をあちこちに受けたらしいが、命に別状はないという。まるで警告しているかのようだ。
童帝曰く、「そっちが数で来るならこちらも数で行かせてもらおうか」と、風神が言い残していったと言う。
彼女は、本格的に動きを見せ始めた。
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