• テキストサイズ

風雷暴見聞録

第76章 74.


『そうだな、ではこうしようか。私は風神を追う者であるのだけれど、彼女について知らない事がまだある。
ここは情報交換といこう。私が答えたら、お前が答える。…良いね?』

もし答えずに攻撃やこの場から逃げようとしたのならばお前を始末する。それは簡単な事だ。
少し睨み、両手の指先をバチバチと鳴らせば相手は頷いた。

『私は…風神と同じような存在。対になるモノ…雷神って言えば分かるか?そしてS級ヒーロー、風雷暴のハルカという。同じ様な存在故に風神の力も使えるワケだ。
さて、お前も答えろ』

睨み付けた相手。攻撃する様子も無く、ただ口を開いた。
素直に取引をする事にしたようだ。

「風神は我々天空族の一員だ。新しく天空王となったゲイル様と共に空を支配している」

…ん?
確か、サイコスって言ってたんじゃなかったっけか?聞き間違いするような、似た言葉じゃないし。
腕を組んで、天空族の者を見る。

『サイコスって奴は居ないのか?』

天空族の者はニタリ、と下卑た笑みを浮かべて「サイコス?そんな者は天空族には居ない!」と翼を動かし始めた。
取引が終わった所で戦いを挑むつもりなんだろう、この天空族の者は。

『私に戦いを挑むつもりかな、天空族の』
「良い事を思いついたのさ。お前、雷神を捕らえて王に捧げれば俺は気に入られる!上手くいけば俺は四天王に入れるだろう!」

ふぅん、四天王、ねぇ…?
向上心のあるヤツか、そいつはご苦労な事だね。
けれど、そんなの生きて帰れたらの事でしょう?それに…私を捕らえる事なんて出来るの?

天空族の者は動きを見せ始めている。
手や口から何か、力を出そうとしていると勘付いた私は少し距離を取ってどう来るかを予測し始めた。恐らくは真っ直ぐ放たれるか、曲がったとしても上に少し反るくらいか。
足下に力を入れ、風を吹かして向かっていた方向の地面へと飛んだ。
/ 318ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp