第75章 73.
朝を迎えて、3人揃って朝食を摂る。
ししゃもがボロボロではあるけれども美味しい。なによりも骨を取ったりせず、そのまま食べられるし。フランパンにひっついて卵が出てしまったけれど、見た目なんて気にせずに食べる。
最後に少し残ったみそ汁をすすっていると、サイタマがテレビのリモコンを手にとってスイッチを入れた。
画面に映し出される光景はまた墜落事故…
ではなく、ただの怪人騒動だった。怪人騒動が出る事でホッとするのはどうかとは思うけれど、画面に出ているアホくさい怪人はここにいるメンバーが行かずともB級ヒーローの誰かが駆けつければ良い程度。
お椀に茶碗と皿をお盆に載せてテレビ画面を見ながらテーブルの上を片付け始める。
とっくに男達は食べ終わっていて、お茶を飲み始めていた。キッチンに食器を片付けてから私もお茶を飲もうっと。
立ち上がりお盆をキッチンに持っていく。戻って再び座り、私も火傷しないくらいの温度のお茶を飲む。
「お前、怪我の具合はどうなんだ?」
ジェノスがそう言う。
怪我の具合って…傷はとっくにかさぶたで、かさぶたが取れてる所もある。
というか、最近は自分の部屋のお風呂場で入浴しているから、どんな具合かが分からない。ほら、鏡無いし。
湿布貼れと言われてもやっぱり1人じゃ上手く貼れない。だからといってサイタマやジェノスに頼んだら、ねぇ?
『んー…大丈夫じゃないの?私、自分の背中見えないし』
わざわざサイタマの部屋のお風呂場行って脱いで見りゃ良いけどさ。
自分の背に手を這わし、痛みが在るかを確認する。2、3カ所強く押せば痛いくらいで問題は無さそう。
『うん、大丈夫大丈夫。心配ありがと、ジェノス』
少し口を開いて何かを言いかけたジェノスは口を一文字に結ぶ。
そして間を開けて「それなら、良かった…」と。ジェノスは何かと心配性だな。
『大丈夫と分かれば、今日は普通に外出しても良いよね?サイタマ』
お茶を飲んでいる最中だったらしいサイタマは湯飲みをテーブルに置いて、本人が言うなら良いんじゃね?と許可をくれた。
よし、じゃあ…お風呂場の鏡を今日買ってこよう。ついでに怪人も数体狩って来ようかな、剣の練習も兼ねて。
今日の予定を組み立てていると、ただし!とサイタマが何か条件を足してきた。