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風雷暴見聞録

第6章 4.


死なないというのも哀しいものだ。きっと私以上に不気味がられただろう。いくら体は再生しても、傷ついた心は癒えない。
そんな同情はきっと欲しがられていない(私だってそうだ)私は口に出さず、黙って聞いていた。繋がりであり、仲間というものだろうか。

『私みたいなのがヒーローになれるものなのか?風と電気なんか扱って…怪人だと誤解されないか?』

もっともゾンビマンが公で死なないと言われているのならその時点で大丈夫なんだろうが。不安になった。

「俺が居るって事は大丈夫だろ。それに超常現象で戦うやつも居る。お前は知らないかもしれないが、ヒーローってのは化け物みたいな力を持ってるのが多いんだぜ。
銃が無くたってお前は胸を張って戦えるし、ヒーローともなりゃあ戦うお前が世間中に認められる。暫く活動もすりゃ、見た目とか戦闘スタイルに合わせてヒーロー名が付けられて見ず知らずの人間に応援までされるぜ?」

ゾンビマンはニヤリと笑った。
見ず知らずの人間に応援、か。この前のサラリーマンを思い出す。手を握られブンブンと振って感謝された。あれは…まぁ、温かいというか…少しくすぐったい気持ちだった。嫌じゃない。
それにしてもヒーローか。過去の私は何でも良いから助けて欲しいと願っていた。その助けてくれたヒーローは今、私の隣りにいる。本当のヒーローという職に就いている。

『………ヒーローになんて、私に出来るだろうか?』
「出来るか、じゃねぇ。出来る、だ。やりもしねぇのに無理とかいうんじゃねーぞ、出来るんだ」
『出来る、か。じゃあ出来る』
「ああ、もちろんだ」

そう思っておこう。
下を向いてフッと笑い、足下に向けていた視線を遥か彼方の森の奥、街へと向けた。
まるでこれから来る未来のように、その先はとても明るく、眩しい──
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