第72章 70.
「…駄目だ。まさかそう誘われるとは思って居なかった!ゴム持ってねぇから今日は無理だ」
何言ってんのこの人。
短髪のあんたにゃ必要は無いでしょう。私には確かに必要だけど。なんで家に泊まるのに必要?何か変態的な事に使うの?ぱちんっ!…って。
『はぁー…。あんた髪結ぶほどないでしょうに。ゴムなら私持ってるし、サイタマに頼めば輪ゴムくらいはあるよ?
ったく、変態はどういう事したいのやら』
髪絡んで痛いかも知れないけど。
「違う、違うんだよハルカ!あ、なんだ、こういった知識はジーナスのヤツ教えてねぇのか!?製造方法だけ教育したのか!?」
と両肩を掴まれて揺すられる。
勿論、この時点でゾンビマンの言ってるやつと私が言ってるやつ、そもそも物が違うから話が噛み合わないわけで。ゾンビマンは言い方を変えたようだ。
「経験はあってもそれは知らなかったか…。えっとな、ゴムってのは…お前を、その…大事にする為の特殊なアイテムだ。この事は内緒だぞ?
ま、それはまたの機会に…流石に無しではな…、良いなら良いけどよ…もしもがあっても責任は取れるし……」
『もごもご言ってないでそういうのはちゃんと言ってよ…で、なんなの?』
視線がかち合う。
ゾンビマンは決心したように口を開いた。
「ゴムって言うのはコンドームだよ。避妊具…抱く時にな、お前が妊娠しないように…今はそれが無いから、ヤる時お前が孕む可能性も…」
『ああ……それじゃあ、今日はお別れね』
声の位置が下がって、肩を掴んでいた手は頬を挟む。
唇が触れ、ざらつく舌先が絡み合い、私は彼の背に手を回した。