第69章 67.
先に外行ってる、と出口の方へとゾンビマンは進んだ。途中でシッチさんが置いた私の資料を持ち、去る(参考資料として借りられた)
そんなに私、粗末にしていたかなぁ。ああ、それでも私を疑うならって事?それとも、実験体サンプル77号としてのファイルを見せた事?
よく考えてみれば、どれも粗末にしていると言ってもいい軽率な発言や行動だったかもしれない。絶対に信用するわけじゃないし(実際に信用してないヒーローだって居る)、ファイルの件もでっちあげだとか言われたらそれこそこれが本物の資料だって証拠がない。
話を、しなきゃ。ゾンビマンを追いかけないと…!
私は、残っていたサイタマ達や一部のS級ヒーローにお先失礼、と軽く挨拶をして消えた背中を追ってその場を去った。
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窓の無い通路を走る。
背の高い一歩が大きいのか、早歩きだったのか会議をしていた部屋から出て結構離れていた。見慣れたコートの背中を見付け、そのコートの布地を掴む。
ゾンビマンは立ち止まって、私を黙って見る。先ほどと変わらず不機嫌そうに寄せられた皺。
『その、…ご、ごめん。よく考えたら、軽率な行動だったよね』
少し間を開け、私の頭上に手が載せられた。
「ああ、すげぇハラハラした。…全く、無茶好きのお転婆娘が」
がしゃがしゃと髪を乱暴に撫でられ、結っていた髪が無惨な事になっているのは、自分で触れて分かった。
仕方ないからその場で髪留めを外し、手櫛で整えて結い直そう。
指先で髪を整えた。
『けど、何人に信用されようがなかろうが、あんたに信用されてれば私はそれで良いって。その気持ちは変わらないから』
髪を整え終えたので、髪留めで結い直す。
ゾンビマンはポカンと口を開け、思い出したように口元を隠して小さく「馬鹿野郎」と呟いた。