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風雷暴見聞録

第69章 67.


タツマキとアトミック侍がまだ完全には信用してない様子で、黄金バットと駆動騎士は様子を見ているようだ。豚神はあまり興味が無いのか、食事に集中したいのか…よく分からない。けれど、ここにいる他のS級達は信じてくれる様子だ。
視線が合った童帝は手を小さく振ったので、私も手を振る。
…もしもここにいるS級のほとんどが私を信用してくれなくても、サイタマとジェノス、ゾンビマンが私を信じてくれるならそれで十分だけれど、こんなに信用してくれるのならとても心強かった。

多くの信用を得た所で話は再開した。震えていた手が別の意味で震えて、机の下でぎゅっと握りしめる。

「白フード…いや、これより風神と呼称しよう。風神はどうやら飛行機や空中に居る者を攻撃するようだ。それもいつの間にか来たと思ったら風のように去っていくという。出没する範囲も大きいので特定がしにくい。
そこで君達の出番なのだ!」

ビルの屋上などで待ち伏せる。それも死角を突かれない様に2人以上が好ましい。
各市で実行し、風神を駆除する。そういった作戦だった。

「風神とやらは他の怪人と関わりを持っている可能性がある。もし可能なら捕獲して尋問するのも良いのでは?」

閃光のフラッシュが口を開いた。
確かにサイコス様、と言っていた。風神が様を付けるような相手だ。

「可能であればそうして欲しい。他の怪人が組織を組んでいるとしたらその情報は今後役に立つだろう」

可能なら捕獲。風のように去るのは比喩なのか、それとも風そのものなのかまだ私含めて誰も分からない。
ひとまず、ここにいる全員の連絡を交換し(机に携帯端末を置いたら皆に私の連絡先が追加されたらしい)同じ時間に3組ずつ、それぞれ別の市で待機をして様子を見るという事となった。
産業用無人ヘリコプターは有効か無効か?おとりに人が乗ったヘリを飛ばすか?組み合わせはどうするか?
最終的に各市で一番高いビルの屋上を借りて待ち伏せをする、という話になった。

「人間怪人ガロウの件に風神の件と…君達に負担を掛けてすまない…。戦えない者達にとって、君達ヒーローが頼りなんだ」

ヒーロー、か。
緊急召集会議が終わった。各自椅子を鳴らして立ち上がって、この要塞から帰ろうとしている。私はぼうっとパイプの這う薄暗い天井を見つめた。
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