第68章 66.
変に隠して、それを引き摺れば信用がなくなる。そう思ったから話した。
『…対峙した時はまぁ、ショックで動けなかった。けれど、次風神に遭ったらケリつけます。あと、これは私のみの資料ですが77号としての証拠です』
「お前…、」
ガタッ!とゾンビマンが椅子を立って口をパクパクさせている。お前なんてもの持ってきてんだと言わんばかりに。多少恥ずかしい所もあるけれど今のような成長は無いし別に良いだろう、とファイルを机の上に出した。
この時点で幾らか敵視する視線は減っては来てるのはなんとなく感じた。ただ、哀れみなのか、引いてるのか、クローンだとか何を思っているかは分かりはしない。
他の人がどう思おうが、私には私自身を良く知るゾンビマンが味方だから。
聞いていたシッチさんは自ら取りに来て、元居た位置に戻るとぺらぺらと捲る。その様子をゾンビマンは静かに椅子に座り、見守っている。
「う、うむ…確かに事細かに風雷暴のハルカについては書かれては居るが…」
『私が対峙した時、彼女は自らフードを取りました。その顔も手も…私が幼少時に受けた時のような、赤黒く爛れていた部分を悪化させたような痕。唯一、片目付近だけがちゃんとした皮膚。そして特徴的な話し方をしていました。
力は風神という名を名乗るように、風を操るのが私より上手です。雷神の力も引き出せる様ですが、私が対峙した時は使っていませんでした。
私自身の事と風神について。知ってる事はこれだけです』
──さあ、どう判断する?
資料を閉じ、机にそっと置くシッチ。
「そこまで身の上を明かすのならば、私は君を信用しよう…それから新たな情報を有難う」
ふと、右側の奥に居るゾンビマンに視線をやると、ため息を吐いて少しだけ表情が柔らかかった。