第66章 64.
危険区域の立ち入り禁止のテープを発見。ここからはタクシーを探そう。ゾンビマン、じゃないと集まって数分後に寝てしまいそう。
「やっと、危険区域から…抜けたか」
立ち止まりゼェゼェと苦しそうにしている。
『タクシー停めて乗ったら?既にヤバそうだよあんた…』
一回くらい走ってる途中に死んだ?と付け足す。死にそうにはなったと冗談を言える時点で死んではいないみたいだな。
タクシーを停め、ゾンビマンを任せると私はA市の方向へと全力で走った。
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A市、協会本部。
伸びる道路を風を起こしながら走る。普段は建物の屋根を飛び移って居たけれど風神に怪我を負わされてしまった。大した怪我では無いとは思うけれど、今は遭遇したくない。風神については本部で情報が得られるならその後の方が良いし、自分の身分を明かさないと味方が敵になる。
それに…風来坊していた時、耳にしたな。噂は噂、わざわざ野次馬のように見には行かなかったけれど…本当だったんだ、A市が消滅しているって事は。
中央にある要塞。そこから繋がる様に延びた道路。私を追い抜いていくタクシーからキングが見えた。
視界を大きく阻む物のない左右を見れば何台か車が見える。協会関係者や呼ばれたヒーロー達だろうな。
少し走りすぎて疲れてきた。完全なアシストというよりも徒歩から競歩くらいの疲労はあるし。
やっと出入口である門まで来る事が出来た。風を受けるのは何とも無いけれど、冷たいから耳が冷えてキンキンと痛い。押さえて耳を温めながら、周りを見た。
頑丈そうな要塞。流石、各地のシェルターを作る技術を持った協会の本部だ。
キョロキョロしながら私は中へと入っていった。