第65章 63.
恐らくは風神のアイツが巻き起こした事件であろう。そしてこのS級達が集まる事態になるというのは…。
後々、風神が口を開けば何かしら出るだろうし、そうなってから私の事が分かってしまえばグルだとか騙していただとか言われる事も避けられない。
『2人とも協会から?』
「ああ、臨時召集だそうだ」
普段ならお茶を入れる湯呑に黒い液体が入っている。その溶けきれずにジャリジャリいいそうな液体をゾンビマンは飲み干した。
「俺も同じだ。先生も行きましょう」
ジェノスが言うとサイタマは自分のヒーロースーツをこの場で着替え始めた。
パンツ姿なんて見慣れているので気にしない。
「ハルカ、お前も行くつもりか?」
ゾンビマンは立ち上がり、ポケットに手を入れてそう言う。表情からは行かない方が良いとも読みとれそうな、険しい顔をしている。
私も同じく立ち上がる。もう家に引きこもるのは飽きた所だし、外にも行きたい。それに…。
『行くよ。もしこれが76号の事なら関係者だった私から協会側に情報提供もしなくちゃならないと思うし。ジーナス博士がわざわざ協会に情報提供なんてすると思う?
それに、人を平気で傷付けるのはヒーローの敵でしょう?クローンっていったって私は私なんでしょう?』
そう言えばゾンビマンはため息を吐いて、「外で待ってる」と部屋を出ていってしまった。
私は一度部屋に戻り、とある物を一つを持って外へ出た。