第62章 60.(微裏と回想のモブ裏表記有)
『私の体は…穢れている。汚されているし、自ら汚した』
「…話が見えない、どういう事だ?」
"道端で少女が寝ていれば、こんなご時世誰もが毛布を掛ける…なんて思う?
食事に温かいお風呂、ふかふかの布団。一日借りるのに対価はいくら?
汚されたのはこの10年で3回程、うち1回は3人に。温かみを求めて自ら汚したのは1度。"
『…意味、分かるよね?』
ハッキリと犯されたと、泊まるのに体を売ったと言えずに精一杯考えた言葉で伝える。
生きていくって大変なんだ。ましてや繋がりの無い人間に何が出来る?人間社会、底辺での食うか食われるかの世界、私は食われて自らを餌にして生きる為に名も知らない人と交わった。
"ああ、丁度良かった、溜まってたんだ!便所に連れ込んで俺達の肉便器にしよう"
"気持ちいい…やっぱり女には中に出してなんぼよ"
"しっかりと俺の子孕めよな、ねぇちゃん"
罵声と愛のない欲だけがぶちまけられる行為はどれもひどく激しく、体は喜ぶのではなく痛みで悲鳴を表した。
毎度社会への恨みと自分の虚しさに行為が終わって処理をする度に泣いた。そして自分の腹にどうか授かりませんようにと川で体内に吐き出された、憎たらしい男たちの遺伝子情報の詰まった膣内を洗浄した。次の月経が来るまで祈った。
だから私はヒーローになる前は嬉しそうな人々を見て、軽蔑をしていた。
──お前達は本当に幸せだよ、そのおこぼれで生きる私を誰も知らないクセに、と。