第62章 60.(微裏と回想のモブ裏表記有)
部屋でゾンビマンと、決してやましい事の無いスキンシップを取って時間を潰していると、隣の部屋のドアの開閉音が聞こえた。
携帯の時間を見ると通常なら門限の時間。でも今日は部屋に居るから問題ない。
フブキか、キングが帰ったのかな?
ゾンビマンの足の間に座った状態で帰った人物は誰か気になる私。後ろに居るゾンビマンは背中側から私の腹部に両手を回して、緩く拘束している。
時折話をする時の耳元での声が色っぽく、吐息がくすぐってきてぞくぞくする。……恐らく、わざとやってるな、私が体を捻る度にクスクス笑ってるし。
「ハルカ、晩飯は何にするんだ?肉とかあるか?」
そろそろ腹減ってきた、と私の肩に顎を乗せて言う。
肉って言われてもねぇ…何の肉なのか分からないんだけど。そもそも、ケチって肉なんてそう簡単にはメニューに出てこない。敢えて言うのならば魚の肉と言うべきか。
重い肩の方に顔を向けると、頬と頬が擦り合った。
少し喋りにくく、はっきりと喋ったら自分自身の頬の肉を噛んでしまいそうなので控えめに話す。
『多分、肉といっても魚の肉だと思うよ?昨日は珍しくすき焼きだったけど』
「すき焼き。いいねぇ!いっぱい食ってもうちょっと育てよ」
頬がくっついたまま話し、私の腹部をさすった。
ああ、話がしにくい!反対側に傾けて擦り合っていた頬を離した。
大体、肉を注文されても私は外出出来ないっていうのに無理な注文だ。だったらサイタマの部屋に上がる際に手土産として持ってきて欲しいくらいだ。
「じゃあ秋刀魚で大根おろしつけたやつで妥協しとくわ」
あれ旨いんだよなー、と言いながら私の首筋に舌を這わせる。
『んっ…』
びくりと体を跳ねさせ、思わず口元に手を当てた。下手したら変な声が出る所だった。随分時間が経ってるとはいえ、最初の壁を叩かれた件について何もこちらから言えていない。最悪、今変な声なんか出したら"壁の薄い部屋で隣人にお盛んな事をアピールする変態"として見られる。