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風雷暴見聞録

第5章 3.


偶然にも程があるだろ。言い訳にも聞こえるような状況を聞き、色んな意味で可哀想なやつだと視線を送ればため息を吐かれた。
ビニール袋でもあれば隠せるだろうに、よりによってバナナを持ち歩いてたとか変態株が鰻登りだ。
私が洗濯中、全裸で日光浴してる姿も、恐らく戦う所も目撃してるこいつ…本当にヒーローなのだろうか?所属しているか確認すべきかもしれない。新手の詐欺ならば警察にでも突き出してやろうか。


「…ま、その話は置いといてだ。お前元気そうだな、俺を覚えているか?」


…?

なんだこいつ…やっぱり変態だ。全裸でナンパか。ヒーロー協会腐ってやがる…
こいつまた殺して回復するまでにヒーロー協会にでも訴えてみるか。そうだ、そうした方が良い。
私が引いていたのをみてか、黙っているからなのか。
男は更に付け足した。


「66号。俺は進化の家の"実験体サンプル66号"だ。覚えているか、77号のハルカ」
『66…、』

ろくじゅ、66号?そして懐かしい、10年振りに聞いた私のもう一つの名前、"77号"
この男は何故それを知っ、ああ、さっき俺を覚えているか、の後に66号って言ったからか。ゼンラマンが、ゼンラマンが……ゼン…


『ハァ?えっ、嘘だろ!?ゼンラマンが66号!!?あ、ああ~、確かに66号は青白くで緋色の目だったが……え?…はっ!?全裸でヒーローが66号…?全裸なのにか?ゼンラマン本当にヒーローなのか!?』
「全裸全裸うるせーよだから服がねぇっつってんだろうが!」
取り乱す程に驚いてしまった。
諦めていた、無くしたと思っていたものが偶然にも目の前に居たのだから。

懐かしい裸の男は舌打ちをして「今は全裸だけどゼンラマンじぇねーよゾンビマンだ」と、眉間に皺を寄せ項垂れる。そして大きなため息を吐いた。


「お前もちゃんと逃げられたんだな。土偶みてーに半開きな目のお前を途中までは引っ張ってったのに、走りながら器用にぐうぐう寝てよ…
ま、きちんと連れ出せなかった俺が悪いんだけどな。口は悪いが元気にやってる様で安心したぜ」

『あんたもヒーローなんかやって、元気そうだな…』
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