第60章 58.
ふとジェノスを見ると真剣に一点を見ている。
その視線を追えば少し音量を下げられたテレビ。番組はニュースだ。
内容はテロップ付きで地上からの映像が流れている。
ここの所、ヘリコプターが良く落ちているのだという。これはいくつ目だ?としばらく画面を見ていれば4機目と表示されていた。
私達には直接は関係ない、と思うけれど落ちた先が街だとしたら大変だと一般人が言う。怖いですねぇ、誰の仕業ですかね?と言うのは一般人のおじさん。
「最近多くなってるわよね、墜落事故」
いつの間にかお茶の場所とお茶菓子の場所を把握されていたみたいだ。フブキ、お茶飲みながらお菓子食べてるもん。
どれ、とゾンビマンに腕を持たれて私は立たされた。一体何が始まるんです?テレビからゾンビマンに視線を移した。
「お前、剣術出来ないんだろ?ちとお前の部屋で指導してやるから部屋開けろ」
脇差を指差して言う。
ああ、そうだった。教えてね、と言ったのは私なのに。
「無茶しない程度にこいつ借りるぞ」
「借りるもなんも、お前が俺んち預けてったんだろ」
サイタマは床に並べたゲームソフトの厳選をしながら(多分対戦モノでキングに勝負を挑もうとしてんだろうけど)片手であっちいけとジェスチャーをした。
「あっ、そうそう、ハルカ」
サイタマが私を呼んだのでサイタマを見た。サイタマはニヤリと妖しい笑みを浮かべる。
「変な声出すなよ?耳澄ましてっからな」
『…っサイタマ~!』
一昨日の泣き声事件の事だ。サイタマ達の勘違いだっていうのに!
ニュースは既に別の報道を流している。それらを背中に、私は自分の部屋へと向かった。