第60章 58.
キングとサイタマが携帯機のゲームをしている。私はその姿をただ眺めていた。
退院して翌日に、私は怪人を4体駆除してきた。
昨日朝の内に感知したのは3体だったけれど、帰る途中に見かけた怪人をオマケに駆除したのだ。
たまたま割った卵が2つの黄身だったくらいにラッキーと言わんばかりに結構ノリノリで駆除をした。
脇差の使い方はまだ上手く使えているかは分からない。けれど、トドメに雷を纏わせて怪人の体に突き刺す。きちんとした命のやりとりを体で覚えた。今まで離れて殺していたからね…。
S級昇格おめでとう、とキュウリの怪人を倒した場所でインタビューを受けた。ついでに一般人からお祝いの言葉と差し入れを少々。食べ物は本当にありがたかった。今まで食べられなかったものにチャレンジが出来るし、持ち帰れば大体は歓迎されるし。
……で、おウチに帰ればめちゃくちゃ怒られた。
「病院暮らしでもしたいのかお前は!完治するまで安静にしろ!」とジェノス。
「外出禁止な」とサイタマ。
おまけにテレビで私が出た所で電話が鳴り、携帯にはゾンビマンの文字。
「怪我人は部屋に籠もってろ!いいか、絶対に外に出るなお前は!それでも出るなら監禁すんぞ!」
ヒーローとしてどうなの、最後の言葉。
同時に言われた訳ではないけれど、1人に言われる度にはいとしか言いようが無かった。むしろ、言い訳が出来る状況ではない、と空気を読んだのだ。
そうして私は自宅待機を余儀なくされた。
部屋に籠もりっぱなしだとやる事がない。暇だ、怪人やっつけて走り回りたい。
部屋の行き来くらいは外には含まれないらしいので、往復してると「必要最低限の朝と夜以外部屋に戻るな」とジェノスに脅された。
もう渋々リビングに座るしか無い、とゆっくりと座布団に座る。
しばらくするとキングが来て、「昇格おめでとうハルカ氏」と言われた事と、「あれ怪我してるの?珍しいね」くらい会話して、今更ながら携帯番号の交換をしたくらい。あとはサイタマとゲームをずっとしてる。
で、この空間に取り残されたのは、私を監視するように見ているジェノスと蛇に睨まれた蛙の状態の私。唯一、洗い物と掃除の時だけは監視されていなかった、けれどそれ以外ずっと見られていては堪らない(精神的に)