第59章 57.
朝食を皆で摂り終え、屋上に立って今日も怪人の大体の位置を探る。
日に日にこの危険区域に異様な感じを風から受け取る。一体、この気持ち悪いような空気はなんだろう?人があまり住んでいなくて、荒れているから?
それも気になるけれど、遠くの方であちこちから怪人が出ている。ぴったり位置を特定出来れば楽だけど、私の場合は大体の位置。実際に行って、確認している。
恐らくは76号ならぴったり位置を特定出来ると思う。風神とも名乗っていたから、得意分野のハズ…そして私は風と雷、どちらかというと雷神の力の方が扱いやすい。特にヒーローとして堂々と活動出来るようになってから良い感じだ。ありのままに力を出し、更にコントロールが出来るようになってきている。サイタマのゲームの言葉を借りるなら、経験値が貯まるっていう感じだろうか。
位置を特定しようとしながら、思考を巡らせる。
じゃあ、76号は位置を特定出来るのに博士の位置を特定しないのだろうか?そして私の位置も。
位置の特定がまだ進まない。その原因は多分雑念が多すぎるからだろう。それでも思考を巡らせる。
そういえば、私が脱走の時に便乗して逃げたんじゃないか?と。
クローン。元は76号から私というコピー、77号が出来た。私は66号と話をしたりした。ゾンビマンは76号の事は知らない様子だった。私と会話する時は77号というナンバーとしかあっていない、つまりは私だけだった。
──私は博士に色んな事をされて嫌になってた。76号もそうだったの?
それは…探す理由が、無かった?
自分が巻き起こした微風は途切れる。
手をだらりと下げて、その場で膝を着いて座り込む。怪人の位置特定よりも思考に集中した。
風来坊だった私の様に、76号も風来坊だった?
被害者はソニックと私くらいで、その10年の間はどうしていたんだろう?やはりぶらぶらと彷徨っていたのだろうか?
ここ最近で何があったの?分からないから自分に当てはめる。
ヒーロー協会に入って私は、以前よりもガラリと変わった。
彼女も何か変わってしまったのだろうか?