第55章 53.
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清潔感と消毒液の香りのする病院の自動ドアから外へ。
普通に生活は出来るけれど、体のあちこちが痛む。主に背面で、ビルの瓦礫に当たった部分が腫れているようだ。あとは肌の部分のかすり傷。
骨折とかは無く、この程度なら1週間程度で完治すると退院する時に聞いた。湿布とか塗り薬を貰い、それらをガサガサさせながら病院の敷地内を出る。
「いきなりヘビーなモン食ったら良くないよな…ほら、あそこの蕎麦屋で良いか?」
病院を出てすぐ隣。うどん・そばと書かれたのぼりが風に吹かれてバタバタと音を鳴らしている。
こんなに病院から近いと、職員も行くんだろうな。職員だけじゃなくて、患者も行くんじゃないのかな。
『うん、あそこで良いよ。麺類、私好きだし』
昼食が麺類なのはしょっちゅうだし、確かにこってりとしたものは今は遠慮したい。多分食べたら気持ち悪くなりそうだ。
私も賛成した事もあり、ゾンビマンは歩を進める。
そこそこ客の入った店内のカウンターに座って、私達は掻き揚げ蕎麦を食べた。