第4章 2.
ゼンラマンは私を指差し、お前腹減ってるだろ?と問いかけた瞬間、私の腹部がその質問にグゥと大きな返事をした。
もしもこの人が服を着てたら、ご馳走してくれるんですか?とでも聞き返してただろうに。全裸だから何も期待が出来ない。むしろ不安と怒りが沸き上がってくる。
無気力そうな顔は空を向く。それが私にとっての誰かを思い出させる。
「食い物なら持って来てんだぜ?さっきまで怪我の回復の際も食ってたしな」
『へぇー、』
自慢げにゼンラマンは腕を組んでそう言った。腕よりも足を組んで隠せ、足を広げるなと言いたいのを飲み込んで唾液と共に喉の奥に押し込める。
それよりも食料だ。分けて貰えるのだろうか?飴でもなんでもいい、少しだけ期待をした。
『まじですかそれはシンセツにあまえてやってもいいですけど』
棒読み気味であっただろう、私の言葉にケチもつけず。
男は立ち上がり、こう言った。
「つってもバナナしか無ぇけどよ、食うか?」
立ち上がった勢いで男の何かがぶらんと揺れる。
やり場のない憤りが私の頭と手に集まってくる。
………この日、ゼンラマンを2回殺したのは言うまでもない。