第4章 2.
…、
………。
はぁ、ヒーロー…ねぇ?
私は足下から頭の天辺まで見た。首から上は血色がすごく悪い人間。歪な怪人性はない。体つきは筋肉が程よく付き、一般男性よりは筋肉質。しかし、明らかにおかしいのが、全てがデフォルト、生まれたままである事だ。下着一つないものでこんな自然の中にいるのは存在自体が歪であった。ここは無人島でも原始時代でも、アダムとイヴのいる時代ではなく、人類がすでに発展した時代なのだ。
見えない。ヒーローに見えない。ヒーローというより怪人寄りだろう。怪人ではなくとも変質者というラインか。
『全裸でヒーロー…?』
「全裸で悪かったな、ていうか全裸で戦う特許はぷりぷりプリズナーなんだがな」
(うん、こいつはゼンラマンと呼ぼう)
死なないというのは本当の様で、高電圧を喰らった腹部の色は徐々に男の青白い色に戻っていく。
腹から蒸気の様なものが消え、完全に治ったようだ。急所を隠す手は動かさず、空いた手で自ら腹部をさすった。
『……成る程。死んだのは服と信頼か…』
「おい、お前。ちとぶっ飛ばされてみるか?ん?」
ゼンラマンは川沿いの大きな石にゆっくりと腰掛ける。
視線は私が先ほどつついてた半魚人だ。腹が減っているのか、ヒーローとして怪人が気になるのか。ヒーローっぽさが感じられないので、私は前者をとった。
『食べるなら食べていいぞ。私は遠慮するけどな』
「ひでー女だな。折角人が親切にしてやろうと思ったのによ」
『フルチンの親切とか事案じゃないのか?』
「お前な……、」