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風雷暴見聞録

第52章 50.


数軒移動した所の屋根の上でしゃがみ込む。
空は青く、良い風が頬を撫でる。サイタマ達は同居人だし帰ってから話すとして、ゾンビマンと童帝に連絡をしようか。フブキは帰ってからメールを送っておこう。他にも書きたい事あるし。
今は平日の昼前、うーん…メールの方が良いだろうか?ポチポチとS級に上がったから同じS級として宜しくという事を童帝にメール送信した。

ゾンビマンにはは電話をしようか。

昨日はあんなに躊躇った電話。喜びの勢いあってか通話ボタンを押して、耳に携帯を宛う。
コール音が始まって、4回目でコール音が消えた。

『もしもし、私。ハルカだけど!』
「なんだ、随分機嫌良さそうじゃねぇか。その様子だと良い結果が出たのか?」

少し屋根の上の風が煩い。より耳にぴったりと押し付けて音を聞き漏らさないようにした。

『うん、そうなんだ!私、66号と同じくS級ランカーになったんだよ!』
「へぇ、そいつはめでたいな。なあ、今何処に居るんだ?」

──凄く、凄くはっきりとゾンビマンの声が聞こえた。
心臓がドクリと大きく脈打つ。
さっきまでのあれほどうるさかった風の音がしない。あまりにも急すぎた。

『今、ヒーロー協会Z支部付近の、屋根…なんだけど、』

振り返りたくない。振り返ってはいけない。
眩しいから太陽に背を向けていた私。目の前のしゃがんだ私の影に近付く縦長の影。
ゾンビマン?いや、携帯の向こうの声は後ろからは聞こえてこない。じゃあ、ヒーローを狙うというガロウ?それも違う気がした。
何故なら、さっきまで煩かったハズの風がピタリと止んだ事、それだけで察した。悪寒がする。怪人関係だと本能が警鐘を鳴らしてる。
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