第51章 49.
ゾンビマンが羨ましい。自分に素直になれて、大人の余裕を持っているし。欲しい言葉をくれる。私は欲しい言葉をあげられているだろうか?
『なっ、何が俺のモンだし、だよ…っ!』
「お?もしかしてゆでだこみたいに真っ赤になってんじゃねーだろうな?」
可笑しそうな口調、そしてなにやらカランという音と向こう側で飲み込む音。
飲み物…というか、夜って事もあってお酒でも飲んでるんだろうか?飲みそうなイメージはあるし…
「あーあ、直に会ってからかいてぇな」
『からかわない!』
カロン、という氷がぶつかる音が聞こえる。どこかの店なのか、家なのか。
家で飲んでんの?と聞けばああ、家だと返される。
煙草でもふかしつつ、お酒をちびちび飲んでるんだろうな。ちょっと見たい、かも知れない。
『ゾンビマ、…ううん、66号。また、近々会える?』
話をしている内に段々と会いたい衝動に駆られてきた。
指先が震えて今にも携帯がベッドの上に落っこちてしまいそうだ。しっかりと両手で携帯を持ち、耳元に押さえた。
「会えるに決まってるだろ。10年もブランクがあったんだ、お前がが"しつこい!"って怒るくらいに会ってやるよ」
この、男は…!
凄く嬉しくて、この部屋に人が居たら気持ち悪い!と言われそうなくらいにニヤニヤとしてしまった。本当顔が見れない電話で良かった。
まだ話していたいけれども私が保ちそうも無い。それじゃ!と言うと、可笑しそうにじゃあな、と言って通話を終えた。
通話を終えて、大事なことを思い出す。焦りながら再び通話ボタンを押した。
「おい、今度は何だ?」
『聞きたい事を忘れてた!』
笑われながらも、イケメン仮面ことアマイマスクの件を伝えると情報と言えない情報と、さっさと寝ろ!…と、頑張れという応援を言われて私は眠る事にした。