第50章 48.
「これはハルカの分だ」
ある日、門限ギリギリに帰った私。部屋の中ではガサガサという音とビリビリと破く音が続いている。
ガサガサ音の発生源はサイタマがダンボールを引っかき回している音だった。
帰ってきて早々にジェノスが箱を指差していて、察した。パラシュートも見えるし。たまにこうやって郵便物が纏まって来るらしい。
「ジェノスとハルカばっかだな。俺のなんか普通の手紙1通とスーツのダイレクトメールだけだぞ?おかしくね?協会俺の分せき止めてんじゃねーよな?」
サイタマは漁るのを止めて唯一の2つの封筒をまじまじと見ている。
ダンボール2つ、私の分とジェノスの分が多いそうで。分けてみればジェノスの方が多い。流石はS級であり、ヒーローの中でトップクラスのイケメンと言われるだけはある。
私に向けられた手紙の中にシンプルで見慣れた物が少し埋もれて見えていた。
──協会からの手紙だ。
見るなら早めが良いんだろうし、その場で開封して中の便せんを取りだした。
もくもくと皆、忙しそうにしていて黙っている。しかし絶えず紙の擦れる音と、ビリビリと破く音が聞こえる。
ちなみにさっきからビリビリという音を発してるのはジェノス。手紙を開封するのに端からではなく、引きちぎるようにして開封していた。サイボーグ、凄いな!でも、封筒とても凝ってるのにもったいないぞ。
便箋を開き、文字に目をやった。
『お、見て見て!A級2位だって』
サイタマが1通…スーツのダイレクトメールの方をゴミ箱に捨て、良かったな!と私の手紙を覗き込む。
「ん?面接?確か、ランク上がる前に俺、面接したけど確かそのランクで1位の時だったぞ…?」
サイタマに貸して、と手紙を持ってかれて、内容をジェノスと並んで見ている。
遂にランクがS級になるのか。それもほぼ毎日必死に怪人駆除していたからかな。
ふふっ、もうすぐで追いついてしまうぞ、あいつに。