第49章 47.
「いけ、我がシモベ達よ!ナマイキなヒーローを鳥葬してやりな!」
鳥葬、ああ…鳥に食わせるやつか。
鋭いくちばしがコチラを狙い飛んでくる。数が多いから、ちょっとは本気を出すべきか。
…一般人は随分離れているようだし。
指先を全て前方に向け、稲妻を放つ。ババリィ!と青白くも強烈な発光をしながら、電気を通しやすい生命体達を直撃する。私自身は耐性が在るので痛みだとかは受けない。とは言え、前髪や縛った髪が電気を纏って逆立った。
甲高い声や獣のような声を上げてボトボトと落ちる音。さっきまでは愛らしかったはずの、怪人の下僕達が命を落としていく。
「アバビッ」
情けない声と、バタンという鳥が堕ちる音よりも重い音がして私は攻撃を止めた。
ビクンビクンと痙攣をしながら、地に伏っしているアサルトマン。電気を纏ったせいか、麻の実がくっついてきたりしてうざったい事になった。
トドメを銃で撃ち込む。血を流し、アスファルトを染めていく。
さて、怪我人が居る事と怪人の後始末を協会に連絡して、次に向かおうか。
次の怪人の位置を特定し、案外近いところだ。
「風雷暴の君、ありがとう!」
ニコ、と笑ってその場からジャンプする。ビルの屋上から見る地面に立つ人達は私を見上げた。
笑う事がちゃんと出来るようになった。悲しむ事や、愛する事も。力をきちんと正義に使っている。人間なんだ、私は。
胸元に手を当て、服をぎゅっと掴む。ちゃんと人が人として生きるのは義務。
だのに。
私のクローンは、まるで怪人のようだと言う。少し胸が痛んだ。以前はぼんやりとしていた感情がはっきりとする事で、躊躇いが出てきた。
クローンは私のコピー。けれど、まだ見た事のないその私は双子だとか、姉妹みたいに思えてきた。
まだ事例はソニックにしか聞いていない。もしも、これから罪を重ねていったら彼女はヒーローの敵。
私は彼女に立ち向かえるだろうか?
深呼吸をして、次の怪人の元へと走り出した。