第47章 45.
……具体的にどういう場面でそうなったのかを思い出せる限り思い出して、口に出してみる。
締め付けられるのは、嫌われているんじゃないかだとか、サイタマやジェノスも居るしもう会えない訳じゃないと考えた時。
高鳴る時は戦う時や、頭を撫でられた時。触れた時。それから……、とまだ話しているってのに私の口元を片手で押さえて無理やり中断された。
「待て、おい。そいつはー…ああ、なんてことだ、」
もう片手で頭を押さえてふるふると震えている。こんなゾンビマンを初めて見た。
相当やばいんじゃないのか、私は。どうしよう、まだこれからやりたい事沢山あったのに。
「病は病でも不治の病だ、ハルカ…直すに医者の薬や手術なんか効きやしねぇ。ただ、お前の場合はこうするとちょっとは楽になるんじゃねーの?」
目が少し泳ぐゾンビマンはより私に近付くと、両手を私の背に回し昨日の様にぎゅっと抱き寄せる。
近付いてくる時点で私の心臓はバクバクと煩かったけれど、不安だとかなにか例えようのないモノがすぅーっと消えて、ほっとするような安心感が生まれる。
なんだ、心臓が煩くなるのは困りものだけれど、さっきの痛みは治める事が出来るじゃない!
『…うん、楽かも。ただ、凄く煩くなってるけど、』
「こんなんで死ぬわけがねぇだろ…」
凄く近い、というか耳元から降ってくる感じでゾンビマンは話す。呼吸までも聞こえる。胸の少し上で密着した肌から私以外の鼓動も伝わってくる。
……ゾンビマンも同じように、早く高鳴っている。
フフン、と吐息で笑うのが耳に入る。
「生憎、俺も同じ病だ。恋なんかで死なねーよ、ハルカ」