第46章 44.
時刻は4時前。バイクの音が煩いなぁ、と目で追いながらこれからの事を考えた。
門限は5時だったし、どっか寄る暇も無いな。折角一緒に居る事が出来るのに、少しだけ寂しい。
ファミレスから出て視界にコンビニが見える。ハッと思い出した。
『ちょっとここで待ってて!』
「あ?ああ…、」
禁煙席に居たからなのか早速外に出て煙草をくわえて火を付けようとしているゾンビマンに言い残すと、私はコンビニへと駆けていった。
駆ける、と言っても目の前の道路は交通量が激しい。何、こちら側から飛び上がって、向こう側に着地すれば簡単な事。
蹴り出した足から風を、そして浮遊感。反対側の歩道まで来たら少し風量を調節して、着地の時に衝撃が来ない様に更に調節をした。通りすがりの人は驚くけれども、ヒーローで最近騒がれている奴だと見るとその表情は嬉しそうな顔になる。
コンビニに入って、日用品のコーナーへ。そして目当ての物を選んでレジへ通して貰った。
…やはり、ヒーローが煙草をポイ捨てするのは宜しくない。携帯灰皿を開封して、また道路を渡る。
煙を吐いて腕を組んで待っていた、眉間に皺を寄せたゾンビマンのポケットに突っ込んだ。
「ん?何だ…これ」
『ヒーローがポイ捨てしてどうすんの。これからはそういうの、持ち歩きなさい』
あ、携帯灰皿か、と呟くと早速開けて吸い殻を中に突っ込んだ。
灰皿を閉じ、ポケットに戻す。
「サンキュー。持ってたんだが、怪人にボロボロにされてな…最近だと、お前に再会した時だったか」
『…ああー、あの全裸の不審者の時の…』
「不審者かよ…まあ、仕方ない状況だったな」
軽く笑い、時間も時間だしぼちぼち帰るか。そう言ってゆっくり来た道へと足を向け始める。
もう、帰るのか。