第43章 41.
童帝という学生のヒーローがまだ授業をしている。
そこで先にファミレスに入って待っていよう!という事になった私とゾンビマン。店内に入って人の少な目な禁煙席へと案内される。
とりあえずはドリンクバー2つというのは同じだけれど、私は勧められてデザートのページを見る。どれも美味しそうで迷うし、食べてみた事のないものなら一度は食べてみたい…。
その中で目が奪われたのが、色んなものがコテコテにトッピングされてとびきり美味しそうなパフェ。ヒーローになる前のあの頃とは違うし食べてみよう、と私はパフェを注文する事にした。
『何か食べないの?』
「俺は要らねーよ。好きなもん食いな」
まあ……甘いものを食べるって顔じゃないわな、と1人納得してやってきた店員に注文をした。
お昼時間を過ぎた平日のファミレス。人は居るけれども、混んでいないせいか注文したパフェは早くやってきた。
私の席にある甘い飲み物をずらしてテーブルに置かれるそれは、想像していたモノより大きい。
白いクリームにチョコレートのソース。真っ赤なチェリーにアイスクリーム。苺やバナナ。
ガラスの食器から覗く何層かの甘そうなモノ。
『いただきます…』
ジェノスが外出中の時にサイタマと私とフブキとでこっそりアイスを食べて以来の甘味だ…!
そうそう、あれからフブキと少しずつ話をする様になり、番号も交換する事も出来た(あと、フブキ組へと何度も勧誘をされた)
同性での話す相手は貴重だ。よく考えてみたら周りは男ばかりだったから。
ほっぺたが落ちる、という表現がある。確かに頬が溶け落ちるようなふわっとした甘さのクリームにアイスクリーム、チョコレートのソース。これは同性にも共有したい甘さだ。
一緒に来ている男は食べないし、ひとりで私だけ食べているのも…。
色々と考えながらもくもくと食べ始めて、目の前からの視線で我に返る。
『ねぇ。私1人食べるのも気まずいし、ゾンビマンも何か頼んでみたらどう?』
禁煙席なので煙草も吸えず、コーヒーだけで待つのもなぁ…。
甘いものじゃなくてもポテトとか唐揚げとか軽食だってあるし。ほら、甘いものより肉って顔してるし。
ゾンビマンは落ち着いて頬杖をつき、口元を少し緩めた。