第42章 40.
「協会本部でちまちま探すより、もっと良いヤツがある」
人々の話し声が聞こえるくらいの場所に来て、ようやく話し掛けてきた。
普通の状態だ。照れている様子は残っちゃいない。
『それはどんな方法?』
「童帝だ、童帝に頼るんだ」
ちょっと場所を考えて発言して欲しかったな。
危険区域から抜けて人の少ないこの辺は数件、怪しい店がある。ピンク色だったり、ハートをあしらっていたりするホテル。
宿泊施設だけれどなんか休憩コースとか語尾にハートが付いてたりする。性欲をぶちまけるが為に借りる個室、というべきか。
『あんたの童貞に頼ってもね…誇るもんじゃないでしょ』
ゾンビマンから3歩程離れて軽く引きながら私は言い放った。
どうしても卒業をしたいのならば、この辺のお店の人に相手をして貰えば良いものを。
ゾンビマンは周囲を見て納得したのか、僅かに顔を伏せた。
「ああ、場所的にそう思っても仕方ないな、俺の言ってるのはS級ヒーローの1人に童帝って子供が居る。大人顔負けの天才、だから漢字に当てはめて童帝って書く。
恐らく敵について纏めてるからな。聞いてみようかと思うんだが…、
俺自身流石に童貞でもないからな、場所も場所だし休憩コースをして、実際に体験してもらう。出来るならば朝まで休憩コースをだな…、いや、冗談だ!」
チャキ、と音を鳴らして武器を取り出せば冗談を止めるゾンビマン。
冗談が冗談に聞こえないんだよ…!(冗談じゃないような気もしたけれど)
「もうちょい先のファミレスにでも入って待てば良いだろ、この前の借り(模擬テスト等)も返さなきゃいけないしな」
歩きながら、コートから携帯を取り出す。
口には煙草がくわえられたまま、器用に通話が始まった。