第41章 39.
「おせーぞハルカ。それともアレか?俺とのデートの為にめかしてたか?」
玄関のドアを閉めて、煙草を吹かすにやついた男。
家の中も外もニヤニヤニヤニヤ。ああ、もう!
『そんなわけないでしょう!?』
むかついたので、ゾンビマンの腹部にパンチを食らわせた(今までよりは手は抜いてる)
グホ、と言ったゾンビマンからは厭らしい笑みは消えたようだ。
『ほら、協会に行くよ!』
早足で廊下から建物の外へと出る。
後ろからの足音や布の擦れる音も聞こえるから、ちゃんとゾンビマンも付いてきている。
こっちの方向だったな、と進めば黙って付いてくる気配。
そんなに口数の多い訳じゃないけれど、この空気の重さがなんとも言えないや。
ましてやここは危険区域で静かだから余計に。
チラッと後ろを振り返ると、さっきより短くなった煙草をくわえて、考えてるのか考えてないのか…ボーっとした様子で前を向いていた。
何気なくだけれど、以前ジェノスが読んでいた雑誌にヒーロー人気投票ってのがあって、ゾンビマンがそこそこ上位に居たな。そんな事を思い出す。
私にとって昔は仲間だとか友達だとかそんな感じで、久しぶりに会った時はいかにも不健康そうな変態って感じ。雑誌のコメントを一部思い出してみる。
世の中の一部の女性は、こいつがカッコイイ!とか、男前だとか、そう思っているらしい。中には抱いて!だとか耳元で囁いて欲しいだとか謎のコメントもあった。
とはいっても、多くは男性・子供に人気らしい…けど。
相手がボケッとしている内に私は前を向いた。
……で、だ。
そういう意見があるんだと意識をしてみれば、確かに顔は整っていると思う。不健康そうな肌の色ではあるけれど。
体格は…まあ、筋肉質で…良い方なのかな。
赤い瞳は凛々しい。うん、なんとなく人気投票のコメントの理由が分かってきたような気がする。
『ゾンビマン、』
「あ?なんだ?」
振り向いた所、短くなった煙草を処分していた所だった。
全く、ヒーローが煙草のポイ捨てをするな!とそれを拾う。
……後で携帯灰皿でもあげようか。