第40章 38.
その時はクローンだとかそんな話知らなかったし、気のせいと言って私は部屋に入ってしまったんだと伝えた。
もっとその先を聞いていれば良かった、なんて今更になって思う。いや、クローンについて知らない時に変質者に深追いしたくはないけれど。
「うーん、どうせ俺ら今暇だし買い物ついでに見かけたら詳しく聞いてみるわ。あいつも割とスーパーとかに溶け込んでる時あるもんな、この前みたいに」
卵が安売りしてるみたいだしな!そうサイタマは立ち上がる。
それに釣られてジェノスも「行きますか!」と再び立ち上がった。
「それじゃあ俺はこいつと一緒に行動するか」
ほら、行くぞとゾンビマンは立ち上がり玄関の方へと向かっていった。
随分行動が早いな、と私も立ち上がる……際に見てしまった。
「…なぁ、アイツとハルカってデキてんの?急に雰囲気めっちゃ変わったじゃん」
サイタマが玄関方向を指差している。言葉の中に入るアイツ=ゾンビマン。
私が固まって見ている事に気づかれ、ジェノスが鼻で笑う。
「帰りが遅くなりそうならば無理に今日中に帰らなくても良いんだぞ」
『ジェノスまで言うか!
別にアイツとはそんなデキてるだのデキてないだのそんな関係じゃなくって、えっと、10年前に進化の家で良く話をしてたからであって変な意味は…、』
帰ってくる前に泣きついた事だとか色々浮かんできて、口では否定したいけれども今日会った事は否定出来ない方向に足を突っ込んでいる気がする。
というか、好きだと言ってしまったし。言ったからといって交際してるだとかそういうんじゃない…んだよね!?どうなの?とも聞けないのが、ここには女っ気のない2人だからか。
「言葉がこんがらがってんぞ。はやく行って来いよ」
「嫌なことを強引にされそうになったら殺せ、どうせ人生リセットされるだけだろう」
『とにかく!そういう変なのじゃないからな!』
畜生、なんて答えれば納得して貰えたんだ!
終始にやにやするサイタマ達を背に私は玄関の外で待っているであろう、ゾンビマンの所へと向かった。