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風雷暴見聞録

第39章 37.


お昼時に帰った私達は、とりあえず食事をする事にした。
帰って直ぐ鏡を確認した時は目は赤くなっていないしバレないな!と自信があったのに、ジェノスが私をガン見する。

『な、何か…?』

リビングにてずいっと近付いてきた顔。
瞳の中で何かカタタタ…ピピッという機械音。何か私を分析しているらしい。

「……またお前は。泣いたのか?それともそいつに泣かされたのか?」

私から違う人物へと視線を移すジェノス。
記憶を読みとる機能が無い事を願いながら、そいつを庇う事にした。

『えっ、うんちょっとね。もう大丈夫、ゾンビマンはそれについては関係ないから』

私が話しているうちに一緒に入ってきた男を睨み付けるジェノス。
片手をカチャリと物騒なモードにするのを止める。まあゾンビマンならぶち込まれても死にはしないけど。

「おいおい、俺を疑ってんのかよ鬼サイボーグ」
「そうだ。それから部屋内での喫煙は遠慮して貰おうか。壁紙や先生とハルカの綺麗な肺が汚れるだろうが」

ジェノスがゾンビマンのくわえた煙草の先端を指で摘んだ。火を消してゴミ箱を顎でゾンビマンに教えている。
ピリピリとした空気の中、私はゾンビマンの荷物を受け取った。

たこ焼きパックのビルが収納された脇に、私について書かれた資料が無理矢理入っていた。
……ソースと鰹節の匂いがする。あと、めっちゃ湿ってる。
資料が挟まったファイルを取りだし、ティッシュで水滴を拭った。

「それ、例のクローンについての資料か」

キングから借りているであろうゲーム機を置いて、私が持っている資料を取るサイタマ。
そういえば素っ裸な写真もあるんだったな。10年も前の幼児体型だし大丈夫か。
…いや、大体8歳前後だからちょっといけないような気がする。

『ご、ご飯食べてからにしよう?』

ほら、たこ焼きもあるし!冷蔵庫に蕎麦もあるからさ!
付け加えるもサイタマは「…ん」と頷いたくらいでパラパラと捲る。途中まで捲った所でサイタマはファイルを閉じた。

「………、よし!ハルカも帰ってきた事だし飯食おーぜ」

今日はジェノスと俺が作るわ、とサイタマが腰を上げる。いつもと変わらない様子で捲っていたけれど、サイタマは何を思ったのだろう。
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