第31章 29.
「悪かった…そう睨むなって」
リビングでくつろぐゾンビマン。それをキッチンから睨み付ける私。ゾンビマンが最初に口を開いたのはそれだった。
キッチンではいつものようにジェノスと並び、夕食を作っている。今日の夕飯は鮭の切り身に金平ゴボウ、みそ汁、混ぜご飯というメニューなのだけれど、突然の来客がたこ焼きというお土産を持参してきた。
しかも、1人1パックだという。せめて…せめてデザートだとかそういうのを持ってこいよ!と言いたいけれど、過去にたこ焼きを食べた経験のある私からは文句は言わなかった。あれは美味しい。
『人の裸を堂々と覗いただけでなく何か評価つけようとしてたな、あんた。最低野郎かよ…』
しかも目線上から下まで吟味するように動いてたし、と付け加えると、サイタマとジェノスが変態をゾンビマンでも見るかの様に…うん、間違えた。
ゾンビマンを変態でも見るような視線を送っている。
「そりゃあ…ここに来てから良いモン食えてるのかなかなかに好みの体型に、」
『サイタマ、剪定ばさみ何処にある?この前使ってた何でも切れるハサミ…包丁じゃ、もう食品を切ることが出来なくなるからさぁ』
人差し指と中指でハサミのようなジェスチャーをする。
私の話に何かを察したゾンビマンは黙った。リビングに居るサイタマはいきなりなんだ?と不思議そうな表情で、玄関の引き出しにあるけど…と答えた。
ぶっちゃけキッチンハサミでも事は足りるけれど、食品切るものでゾンビマンの下半身を切るのは頂けない。
「おい、冗談だよな?生えるからって止めておけよ?」
まあ、居るから開けるなって声掛けなかったのも悪いんだけど。
『次は無いと思え。で、何の用?』
「飯食ったらちょっと俺のデートに付き合えよ。甘いものくらいはご馳走するぜ?」
この時間は夕飯の仕込みで6時前。食べたとしたら6時半くらい。完全に夜だ。
夜にデートとしゃれ込むとかさっきの事もあり完全に……