第30章 28.
「ところでゾンビマン」
「…あ?なんだ?」
帰り際に、このままハルカの所にでも寄ろうとみやげを買っている時だった。
ゴリラとジーナスはたこ焼きを焼く係とパック詰め係に分かれて仲良くやっているようだ。
「君はハルカ1人だけを連れて研究所から出ていったのかい?」
「…は?どういう意味だ?」
あの時の俺は、壊れかけのハルカがより酷い目に遭う前にと急いで研究所を破壊して逃げた。
手を繋いで抜け出した相手もハルカだ。途中ではぐれてしまったが。
明るくなって研究所を見たが、もぬけの殻で人も怪人も居なかった。
その事をジーナスに伝えると、3つめのパックにたこ焼きを詰める手を止めながらながら「そうだったのか…」と残念そうに言った。
「じゃあ…"アレ"は単独で逃げたという事か。もしくは既にヒーローに狩られて居れば良いんだがね……」
「あんたは、一体なんの事を言っているんだ…?」
注文したパック分が入った袋を差し出して、博士はその理由を俺に話す。
俺は釣りを受け取る事なく、量の多いたこ焼きの袋をもってその場を去る事にした。
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時刻は5時。
きっちり門限を守り、家へと帰る。
玄関に入ると部屋は暖かく、快適だ。靴を脱いで部屋に上がった。
『ん、ただいま。帰ったよ』
「おう、おかえりー。なんだそれ返り血か?」
部屋汚す前に風呂入ってこいよとサイタマに勧められた。
ヒーロー協会に居る事により、お金の問題も解消された…ので、普段着を何着か注文出来るようになったのは嬉しい。
協会関係者には道具や武器など特注で作る専門家が居るので、私が普段着ているデザインで静電気を貯めにくい、そして攻撃時には通電しやすい加工のされた服を作ってもらった。
それから、サイタマやジェノスに世話になってるので、私も生活費とか支払うようにした(聞いたところゾンビマンが前金としてサイタマに10万程渡したそうだ)
一度自分の部屋に戻って、着替えを持ってくる。
ここに来てから、サイタマの部屋に女ものを増やす事になってしまったのは申し訳ないな…と思う。というか、サイタマ女っ気が全くないのはどうしてだ、彼がハゲているからなのか?あまり働かないからなのか?