第2章 横浜コーヒータイム
「お、オイ…何泣いてやがんだっ?」
「す、すみませんっ…私、本当無神経でっ…左馬刻さんが心配して言ってくれてるのにっ…」
「わ、分かりゃあそれで良い。だから泣くな…」
そう言うと左馬刻さんが私を優しく抱き締める。
そんな左馬刻さんの優しい温もりが、私の流している涙に更に拍車をかけた。
「ううっ…ごめんなさっ…い…っ…」
「…お前は何も悪くねぇ。だから泣き止め」
「うっ…ふぅっ…」
深く溜め息をつきながらも、左馬刻さんが私の頭を優しく撫でてくれる。
温かい。
安心する手。
左馬刻さんに抱き締められてどれくらい時間が経っただろうか。
涙も治まり、だんだんと気持ちが落ち着いてきた。
「あ、あの…左馬刻さん…」
「何だ?」
「も、もう大丈夫です…」
「……」
確実に聞こえているハズなのに、左馬刻さんが抱き締める手を緩めてくれない。
ちょ、ちょっとこの状況は…
冷静になってみると、滅茶苦茶恥ずかしい。
散々泣き喚き、みっともない所を見せてしまった。
「さ、左馬刻さん…」
「…病院はもう行かねぇ」
「へ…?」
そう言うと、ゆっくりと体が離される。
「その代わり俺様の家に来い」
「さ、左馬刻さんのお家に…?」
「これから銃兎と理鶯が来る。そこにお前も来い」
「で、でも…何か大事なお話とかをするんじゃ?」
「俺よか理鶯の方が手当てもちゃんとしてくれんだろ。それに、お前に飲ませてぇコーヒー豆がウチにある」
は、初めての左馬刻さんの家…!
…って、イヤイヤイヤイヤ。
「で、でも私なんかが行ったらお邪魔じゃ…」
「ア?ジャマだったらハナっから呼ばねぇよ」
「で、でも…私ラップなんて出来ないし、それに左馬刻さんのお仕事のお手伝いもしてあげられないし…」
「アァ?誰がオメェにンなの求めたよ…?」
「だ、だって…」
左馬刻さんは、いつもこんなに優しくしてくれるのに。
「…私は、左馬刻さんのために何にもしてあげられない」
「は…?」
銃兎さんも理鶯さんも左馬刻さんを仲間として支えていて、火貂組のみんなも左馬刻さんをいつも仕事面でサポートしてる。
「私も、左馬刻さんの役に立ちたいっ…」
そう言葉にしたら、また目頭が熱くなってきた。