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夢小説短編集【ヒプマイ】

第2章 横浜コーヒータイム


「悪い待たせた…って、どうした?」
「あ、す、すみません。コーヒー飲もうとしたらカップを落としちゃって…」
「は?何やってんだ。怪我してねぇだろうな?」

そう言うと、左馬刻さんに手をひかれソファに座らされた。

そしてその場に跪きコーヒーが少し掛かってしまった足首を観察される。

「さ、左馬刻さんっ…!」
「軽く火傷してんじゃねぇか」
「だ、大丈夫ですよこれぐらい。少し掛かっただけですし」

というか、左馬刻さんの頭がこんなに近くに…

導かれるようにつむじに手をのばそうとすると、その手をパシッと掴まれる。

「…オイ」
「は、はいっ…!?」
「お前、血出てんじゃねぇか。指切ったのか!?」
「あ、そういえば…」

左馬刻さんのつむじに気を取られて忘れてた。

「ったく、しゃあねぇな…」

手を引っ張られたかと思ったら、左馬刻さんが私の血の滲んだ指を口に含んだ。

「ちょっ、左馬刻さんっ…!?」

私の声を無視したまま、左馬刻さんの舌が私の指を這う。

こ、これはちょっと…

いや…

相当恥ずかしいっ…!!!!!

「さ、左馬刻さん…もう大丈夫ですからっ…!」
「…ま、待ってろ。今手当てするモン持ってくる」

そう言うと左馬刻さんは足早に部屋をあとにした。

「…っ!!」

は、恥ずか死ぬかと思った…

物凄い早さで心臓がバクバクしてる。

少し濡れた指先を見つめていると、すぐに左馬刻さんが戻ってきた。

「…手ぇ貸せ」

左馬刻さんが持ってきてくれた救急箱から消毒や絆創膏を取り出し応急処置をしてくれた。

「…っし、とりあえずこれで良いだろ。病院行くぞ」
「え?だ、大丈夫ですってコレぐらいっ…!」
「ダアホが。そう油断してっからこんな事になんだよ」
「ご、ごめんなさい…」

左馬刻さんにそう一喝され、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

左馬刻さんや皆が優しく忘れてしまっていたが、私と左馬刻さん達は住む世界が違う。

毎日毎日危険な目にあって、自分のすべき事を全うしてして。

こんなコーヒーをのほほんと飲みに来る私なんかの相手もしてくれる。

一度蓋を取ってしまった気持ちを止める事ができず、気がついたら目頭が熱くなってしまっていた。

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