第3章 大阪スイッチ(※)
「なんで電話切ったん?ラインも既読ついてたのに返信してくれんかったやんな?」
「そ、それは…」
なんて返したら良いか分からなくなっちゃって…
「…もしかして」
簓さんがガタッと音を立てて立ち上がり私の手を引いた。
そしてそのままベッドに押し倒され、簓さんが馬乗りになり顔をグッと近付けてきた。
「さ、簓さ…」
「大将に告白されるん分かっててあのお店に行ったん…?」
…へ?
「せやから、既読スルーして電話も切ったん?」
「ち、違います!」
「ならなんで?」
「そ、それは…」
…言ってしまっても良いのだろうか。
「まいちゃん…?」
悲しかったと。
自分が簓さんの彼女ではないという事が寂しく感じてしまったと。
「なあまいちゃん、ちゃんと話して…?」
「んッ…!」
そう良いながら、首筋に簓さんがキツく吸い付いてきた。
キスマーク。
今まで一度もつけられた事はなかった。
ジワリと、そこが熱くなっていくのと同時に、再び目頭まで熱くなってしまった。
「さ、簓さんっ…」
「な、泣かんとってえな。今の、嫌やった…?」
言葉を出すことが出来ず、首だけを横に振った。
「キス、してもええ…?」
「ッ…」
嘘。
だって…
「…私達、セフレなのに」
「せ、セフレだとしてもキスぐらいするやろ」
「で、でも簓さん…最初会った日から一回もしてくれなかったじゃないですか」
い、言ってしまった…
重い女だと思われる。
だけど、一度言葉にしてしまえば、それを止める術が自分には分からなかった。
「今日だって、テレビで結婚したい人が居てなかなか会えなくて枕濡らしてるって…私簓さんがヨダレで枕濡らしてる所しか見たことないし…」
「ちょ…!そ、それは恥ずかしいから今後は見んとって…!」
「それにあんな全国放送で恋人大大大募集中って言ってて…」
「そんなに言うてへん言うてへんっ…!」
「…悲しかったです」
勝手に簓さんの特別だと思っていた自分が恥ずかしい。
「簓さんの彼女になりたかったですっ…」
そう言い終わる頃には、顔が涙でグシャグシャになってしまっていた。