第3章 大阪スイッチ(※)
適当にホテルのメニューから何品か料理を頼み、しばらくの間普通に飲んでしまった。
「あ!」
「へ、な、なんですか?」
「こんな楽しく飲んでる場合やないで!話せんと!」
「あ」
…すみません。
マジで忘れてました。
そう言うと、簓さんが飲んでいたものを静かにテーブルに置いた。
「なあまいちゃん」
「は、はい…」
私も飲んでいるものをテーブルに置いた。
「あの大将っちゅうのは仲ええんか?」
…へ?
「た、大将ですか?そうですね…さっきのお店が私がよく一人飲みに使ってた所で」
「一緒にタバコ吸うぐらいには仲ええんやな」
そう言って簓さんが頬杖をつく。
…なんか今日の簓さん、カッコイイかも。
「俺と一緒におる時はタバコ吸わへんくせに…って人の話聞いとる!?」
「あ、はい!すみません…!!」
っていうか私、なんか謝り過ぎでは…?
「…それで、どう返事するん?」
「返事?」
「告白されとったやろ!大将っちゅーやつに!」
「…あ」
ヤバい。
正直忘れてた…
「ちょ、あんなに真剣な男の告白忘れたんか…?」
「い、いや、それどころじゃなくて…って、なんでその事知ってるんですか?」
「うっ、そ、それは…」
き、聞かれてた…
「ど、どこから?どこから聞いてたんですか?」
「えーと…まいちゃんが元気よく、いってきまあーすとか何とか言うてタバコを麗しげに吸い始めた辺り…やな」
そ、それってつまり最初から外に居たって事じゃ…
「…まいちゃんに電話切られて、ちょっとスネてしもうてな?それでサプライズで迎えに行ったろ思って家に行ったらおらんくて」
「そ、それは…」
テレビで言ってた簓さんの言葉がショックで…
「それで一人飲みしてる飲み屋探したろ思たらホンマにまいちゃんが店から出てきて、運命やと思っとったらあの大将とかいう奴がまいちゃんの隣に座り始めてやな」
「そ、そうだったんですか」