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雪を梳かす熱き炎【鬼滅の刃】

第4章 小さな出会い


千寿郎は急ぎ鴉を飛ばし事の次第を兄である杏寿郎に伝える。すると杏寿郎はすぐに家に戻って来た。

「兄上!!」
「千寿郎!家の近くまで戻って来ていてよかった。六華は!?」
「それが突然家を飛び出して街の方へ」
「わかった。俺は六華を追う。不安だろうが千寿郎、お前は家で待っているように」
「はい…。兄上…」
「大丈夫だ。必ず六華と共に帰って来る。安心して待っていなさい」

杏寿郎は千寿郎に優しく言い聞かせると六華の後を追うべく街へと向かった。

(六華…無事でいてくれ…!!)

********
『はぁ、はぁ…!』

六華は今では顔馴染みとなったガラス細工店の前に来ていた。扉にかけている手が震えている。

(大丈夫。あれはただの夢…夢でしかない…!)

そう自分に言い聞かせ、六華は静かに店の扉を開いた。

『!!!!』

六華はその場に崩れ落ちた。目の前に広がっていたのは、砕け落ちたガラス細工。一面を赤く染める血の海。そして、そこに横たわる店主夫婦と龍の姿。

『そんな…何で…』
「おや?これは珍客」
『!?』
「まさかこのような所で稀血に出会うとは。私は運がいいようですね」
『…鬼…』

そこに居たのは、一見物腰柔らかそうな青年であったが、その瞳は猫のように縦に割れ、口の周りは赤く染っていた。

「今宵は満月。なんと幸運な一夜か…!!」
『…!!』

そう言い、鬼が六華に手を伸ばしたその時。

「彼女に触れるな…!!」

一陣の風と共に、六華と鬼の間に杏寿郎が割って入った。鬼は現れた杏寿郎から急ぎ距離を取った。

「鬼狩りですか…」
「…」

杏寿郎は目の前の凄惨な光景に顔を顰め、刀の柄を握り直した。

「この家の者たちに手を下したのはお前だな。鬼殺隊、煉獄杏寿郎がお前の首を斬り落としてやろう」

いつものような大声ではなく、低く静かに言葉を発する杏寿郎。しかし、握られた刀の柄には力が込められており、煉寿郎が必死に怒りを抑えている様子が伺える。

「これはこれは。あなたのお知り合いですか?大変恐縮ですが、今宵私の餌となってもらいました」
「貴様…!!」

怒りの沸点が頂点を迎え、杏寿郎が鬼に斬りかかろうとしたその時。突然周囲の空気が凍るように冷たくなるのを感じた。

『縛』

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