• テキストサイズ

雪を梳かす熱き炎【鬼滅の刃】

第4章 小さな出会い


「お前さま。あの青年の方に雪の結晶の簪を差し上げたのでしょう?」
「あぁ。何故かあの2人には幸せになって欲しいと思ってしまってな。だか2人とも自分の想いには疎いようだ」
「大丈夫ですよ。あのお2人ならきっと」
「…そうだな」

そう言って2人は、楽しそうに話す千寿郎を間に穏やかに微笑みながら歩いて行く六華と杏寿郎の姿を見つめるのであった。

********
偶然の出会いにより、六華と千寿郎は時々ガラス細工店を訪れるようになった。龍はまるで姉と兄ができたように喜び、その姿を見ると六華はとても和やかな気持ちになるのであった。

「龍くん、もう少ししたらお父上にガラス細工を習うと言っていましたね!」
『そうね。ガラス細工作りはとても大変らしいけど、龍くんならきっと大丈夫ね』
「それにしても、まさか兄上もよく訪れているとは思いませんでした」
『ふふふ。余程ご店主と気があったようですね』

先日ガラス細工店を訪れた際、店主が杏寿郎も時々店に来てくれると嬉しそうに話していた。杏寿郎にとってもいい息抜きになっているようで、最近は龍に稽古をつけているとも言っていた。

『さぁ、もう遅いですし。今日はもう休みましょうか』
「そうですね。おやすみなさい、六華さん」
『おやすみなさい、千寿郎さん』

互いに挨拶を済ませ横になる。いくらか時が過ぎ眠りが深くなってきた頃、六華は夢を見ていた。

********
「な、何だお前は…!?」
「あなた!!」
「来るな!!龍を連れて逃げ…っ!!」

ドシュ!!
暗闇に赤い血飛沫が舞う。

「キャ〜!!」
「お父さん!!」
「龍、逃げなさい!あなただけでも…!!」

ドシュ!!

「あ…お母、さん…」
「この世はなんと残酷な事か。くふふ…」

ドシュ!!

********
ばさっ!!

『はぁ、はぁ、はぁ…』

3度目の血飛沫が舞ったとき、六華は飛び起きた。額には滝のような汗が流れ落ちている。

『今のは…何…??龍くん…?』

現実味のない夢。しかし、六華の頭には警鐘が鳴り響いていた。

『行かなきゃ…!』

誰に言うでもなく、六華は小さく呟き羽織を着るとそのまま家を飛び出した。

「六華さん!?」

青白い顔をして走り去っていく六華を見て、千寿郎は声をかけたが六華はまるで何も聞こえていないかのように街のある方角へと走り去って行った。
/ 21ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp