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雪を梳かす熱き炎【鬼滅の刃】

第4章 小さな出会い


静かに言葉を発する六華。彼女の瞳にはいつもの暖かさは全く見られない。彼女が言葉を発すると鬼はまるで凍りついたようにその場から動くことが出来なくなった。

「な、なんですかこれは!?一体何をしたのですか!?」

酷く取り乱す鬼に六華はただ一言、静かに告げた。

『砕け散りなさい』

パリーン!!
六華が告げた途端、鬼の体は凍りつき砕け散った。
杏寿郎は己の目を疑った。
日輪刀か太陽の光でしか滅することの出来ない鬼が六華の言霊により砕け散り、滅されたのである。

「一体、何が…」

そう小さく呟いた時、六華の体が崩れ落ちる姿を捉えた。

「六華!!」

倒れる寸前に彼女を抱きとめた杏寿郎。
杏寿郎は彼女の顔を見つめた。

(脈はある…気を失っただけか…)

ほっと息をつくと、店の中に見慣れた姿の者たちが入って来た。

「お怪我はありませんか!?」
「む、隠の者たちだな」
「はい。そちらの方は?」
「問題ない。俺の家の者だ。すまぬが、この人たちを丁重に弔ってやってくれないか?世話になった人たちなのでな…」
「承知致しました」

隠の者たちが作業に入るのを見届け、杏寿郎は六華を大切に抱きかかえ店をあとにした。

(今のは一体…。六華がやったのか?日輪刀も持たず、鬼殺の心得もない彼女が?)

考えても今の杏寿郎に分かることは何ひとつなかった。

(これは、お館様に報告しなくてはならないな…)

杏寿郎はこれからの事を思いながら、朝日が昇り始めた道を歩いて行くのであった。
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