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雪を梳かす熱き炎【鬼滅の刃】

第4章 小さな出会い


男はそう言うと、群衆をかき分け走り去って行った。

「うむ!よく聞く捨て台詞だな!」
「六華さん、大丈夫ですか!?」
『千寿郎さん…私は大丈夫です。杏寿郎さんもありがとうございます』
「怪我がなくてよかった。その子も無事のようだな」
『はい』

3人が六華の腕の中にいる子どもを見ると、どこからか声が聞こえた。

「龍!!」
「お父さん、お母さん!」

声のした方に視線を向けると、子どもの親と思われる2人が駆け寄ってきた。

「米屋の店主にお前が男に絡まれているのを聞いて飛んできた!!」
「よかった、無事で…」
「うん、お姉ちゃんとお兄ちゃんが助けてくれたんだよ!」

そう言って母親の腕の中にいる子ども、もとい龍は嬉しそうに言った。

「この子を助けて頂き、ありがとうございます」
『いえ、そんな大したことは…』
「ぜひお礼をさせてください!うちの店がすぐ近くにありますので」
『でも…』

六華が戸惑っていると、ポンと肩に杏寿郎の手が乗った。

「せっかくのご好意だ!甘えさせてもらおう」
『杏寿郎さん…』
「お姉ちゃん!うちの店には綺麗な石がたくさんあるんだ!見に来てよ!!」

龍の眩しい笑顔に根負けした六華は、『じゃあ、少しだけ』と答え、3人は親子が切り盛りする店へと向かうことにした。

********
「どうぞ、家族3人細々と営んでいる店ですが」
『…綺麗…!!』

六華は店に入ると思わず息を飲んだ。店内にあったのは太陽の光に反射するガラス細工の数々。花の形や動物の形をしたガラス細工がお互いを引き立て合うように並んでいた。

「これは、見事なガラス細工だな!全て手作りなのか?」
「はい。手作りですので大量には作る事が出来ませんが、ひとつひとつ心を込めて作らせて頂いています」
「すごい…!六華さん、凄く綺麗ですね!」
『うん…あの!』
「?」
『もっと、近くで見てもいいですか?』
「えぇ、もちろんですよ」
「お姉ちゃん、こっちに花の形がたくさんあるんだよ!」
『わぁ〜、素敵ね!』

嬉しそうに話す龍と共に六華と千寿郎は店の奥に向かった。楽しそうな六華の姿を見て杏寿郎は小さく笑みをこぼした。

「あの方は、あなたにとって大切な人のようですね」
「ん?」
「六華さんを見守るあなたの目がとても優しかったので」
「…」
「これはこれは…。無意識だったようですね」
「ん〜…」
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