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雪を梳かす熱き炎【鬼滅の刃】

第4章 小さな出会い


突然、あさっての方向を向いたまま、眉間に皺を寄せうーんと考え事を始めてしまった杏寿郎を、六華が不思議そうな表情で見つめていたのであった。

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3人は少し大きな街に来ていた。六華はここに来て初めての街に目を輝かせていた。

『わ〜!』

くすっ
隣から小さな笑い声が聞こえ六華がそちらを向くと、杏寿郎が口を抑えて必死に笑いを堪えている姿があった。

『すみません…子どものように…』
「いや、物静かな君がそんなに目を輝かせるのが少し意外だったものでな!」
『うぅ…』
「そうやって素直に感情を表すことはいい事だ」

そう言って杏寿郎は六華の頭を優しく撫でた。六華は恥ずかしそうに顔を俯かせていると突然大きな声が聞こえてきた。

「おいこのガキ!!ぶつかっておいてなんの詫びもなしかよ!?」
「うわ〜ん!!」

見るとそこには人だかりができていた。多くの街の人が大柄な男に怒鳴りつけられる小さな子ども不憫に思いながら、自分までも巻き込まれないように遠巻きにその姿を見つめていた。六華はほぼ無意識に身体が動いていた。

『やめてください!!こんな小さな子どもをそんなに怒鳴りつけて!』
「あぁ!?!?」
『大丈夫?』
「うっ、ひっく…」
『もう大丈夫よ』
「うっ、お姉ちゃん…」

六華は子どもを安心させるかのようにふわりと笑った。

「てめぇ!いきなり出て来て勝手なこと言ってんじゃねぇよ!!」
『!?』

男が拳を振り上げた姿を見て、六華は思わず子供を庇うように抱きしめぎゅっと目を閉じた。

『…?』
「て、てめぇ…」

しかし、待てども男の拳は六華に振り下ろされる事はなく、代わりに聞こえてきたのは、頼もしくそして安心する声であった。

「そこまでにしてもらおう!」

六華が目を開けると、そこには男が振り下ろそうとしていた拳を杏寿郎が手首を掴み止めている姿であった。

「成り行きは分からぬが、女子どもに手を上げるのを黙って見ているわけにはいかない!」
「うるせぇ!!邪魔するんじゃねぇ!!」
「うむ。口で言っても分からぬか…。ならば」

グッ
杏寿郎が掴んだ手に力を入れると、男は悲鳴をあげた。

「ギャ〜!!は、離せ!!」

男が手を解こうともがくと、杏寿郎はすんなりとその手を離した。

「彼女を傷付けることはこの俺が許さん!」
「ちっ、おぼえてろよ!!」
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