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雪を梳かす熱き炎【鬼滅の刃】

第4章 小さな出会い


『街へ買い物、ですか?』
「はい!食材の買い出しです。今日は兄上もお休みなので、一緒に来てくださるようです!」
『でも、私が一緒でもいいのでしょうか?せっかくのご兄弟の時間なのに』
「問題ない!それに君の着物や日用品も揃えたいと思っていたのでな。むしろ共に来てくれるとありがたい!」

六華は今、兄弟の母、瑠火が生前に着ていた着物を借りていた。六華は、そんな大切なものを借りることは出来ないと断ったのだか、杏寿郎と千寿郎、2人に「六華に着て貰えた方が母上も着物も喜ぶ!!」と言われ、なかば2人の圧に負け着物を借りていたのだ。

「それに、街に出た方が君の気分転換にもなると思うぞ!!」
『!!』

杏寿郎は、鬼の話をしてから憂いを帯びた表情をする六華が気になっていた。街に出れば少しでも気持ちが晴れるのではと思っての誘いであった。

「(杏寿郎さんには、隠し事はできないなぁ…)わかりました。では、お言葉に甘えさせて頂きます」

六華がそう応えると千寿郎の顔がパッと輝いた。

「では、僕は支度をしてきます!」

そう言ってパタパタと可愛らしい足音を立てて、千寿郎は自室へと向かった。

『千寿郎さん、とても可愛らしいですね』
「あぁ。…六華には、感謝している」
『?』
「俺が鬼殺隊に入り、家を空けることが多くなり、千寿郎には以前よりも寂しい思いをさせてしまっている。物心つく前に母上が病死したため、母の記憶も殆どない。千寿郎は君に、母の姿を見ているのだろう」

この家には女性がいない。昨日、千寿郎が言っていたことからある程度察してはいたが、そんなに早く母親を亡くしていたのか、と六華は思った。

「かく言う俺も、母上の着物を着た六華を見た時は、一瞬母上かと見間違えた!!」
『そうなんですか?』
「あぁ。君の雰囲気は、どことなく母上に似ている!強い意志を持った瞳が特にな!」
『…私は、少しでも千寿郎さんの助けになっているのでしょうか?』
「もちろんだとも!」
『…では、杏寿郎さんも』
「む?」
『たまにでいいので、私の前では気を張らずに居てくださいね。』

そう言って下から覗き込むようにして見上げながらふわりと笑う六華に杏寿郎は思わずあさっての方向を向いてしまった。

(この笑顔は、心の臓に悪い…動悸が治まらん。これは何だ??)

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