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炎柱

第14章 お見合い





杏寿郎…。
私、杏寿郎の仕事の事もちゃんと分かってるよ。
杏寿郎の仕事の邪魔にならないようにするし、お家の事はしっかり守っていく。
千寿郎の事もお父さんの事も、ちゃんとお世話する。

…私の事、お嫁さんにしてくれる気は、ない?


杏寿郎は、美玖の突然の告白に、
もともと大きな目を更に大きく見開いた。

夢にも思っていなかった。
文字通り、本当に幼い頃から一緒だった。
兄妹や親友に近い存在であると思っていたのに、美玖は自分を男として見てくれていたという事か?


美玖、それは、
俺の事を好きだということか?


ー…コクっ。


美玖は俯いたまま、
首を縦に振った。
下を見ているので表情は読めないが、
耳が真っ赤に染まっている。


杏寿郎は、そんな美玖を見て、
初めて、愛らしいと感じた。

ー…今、どんな顔をしているのだろう。


杏寿郎は、美玖の顔が見たくなり、
すぐ側に腰掛けると、美玖の頬に手を添えて、自身の方へ向かせた。


っ…!

瞳を潤ませ、耳まで真っ赤に染めて、
少し不安げに眉根を下げている。
小動物かと思わせるようなその様子に、杏寿郎は堪らず美玖を抱きしめていた。


…きょ、杏寿郎??


それに驚いた美玖は
慌てて離れようとする。
そんな美玖に杏寿郎は言葉を発した。


美玖、正直に言おう。
俺は今まで美玖をそういう目で見た事がなかった。お前の気持ちにも、全く気付いていなかった、すまない。

だが、先程の告白はとても嬉しかった。
美玖の事を愛らしいとも思った。

この程度の気持ちで、
美玖に応えてしまっていいのだろうか?


美玖は、確実に断られると思っていた。
今杏寿郎が言っていたように、全く女として意識されていない事を分かっていたからだ。



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