第14章 お見合い
しかし、杏寿郎は、
私の告白に対し、真面目に応えようとしてくれている。
…初めて、自身を女として見てくれたのだ。
嬉しさのあまり、
美玖は瞳から涙を流し答える。
いいよ。
私は、杏寿郎だけだから。
これから、女の子として見てくれれば、
それで充分だよ。
美玖の頬を流れる涙を
杏寿郎は自身の指で拭いながら思う。
涙を流しながら、いじらしい事をいう目の前の娘は、本当に自分の幼なじみなんだろうか?
共に居た時間が長過ぎて、互いに大人になっていた事にも気が付いていなかったようだ。
以前は身長も同じくらいだったが、
今は抱きしめると俺の胸の中にすっぽりと収まってしまう。こんなに小さかったか?
それに、抱きしめた肩や背中は、太っている訳でもないのに柔らかくて心地が良い。
何も付けていないのに、何故か良い香りがする。
〜…っ
杏寿郎も二十歳の健康な男だ。
自分を慕ってくれている娘と部屋で二人きり…
杏寿郎は目を瞑り、息を一つ吐く。
まだ、祝言を上げたわけでもない。
見合いを受けただけだ。
何か、間違いがあってはならない。
そう、自身に言い聞かせると、
改めて美玖の方を向き問いかけた。