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炎柱

第12章 お団子





いや、気にする事はない!
それより、もう遅い。

家まで送って行こう。


師範!では私はお先に失礼しますね!


ああ!ありがとう!


甘露寺さんに頭を下げ、見送ったあと、
杏寿郎様に肩を抱かれて歩き出した。



…肩に…肩に杏寿郎様の手が…!

緊張してしまって、無言になってしまう。



美玖、その、
少し話があるんだが、いいか?


ふいに、杏寿郎から声をかけられた。



は、はい!なんでしょう?



その、実はな、
甘露寺は婚約者でもなんでもないが、

俺には結婚を前提に
付き合っていきたい相手がいるんだ。


…君の事なんだが、
俺と、結婚を前提に付き合ってくれないか?




えっ?杏寿郎様…?
今、なんて…?



杏寿郎は頬を張ると、


俺は以前から君を好いていた!

実は、
甘味は少し苦手なんだが、
君の姿が見たくて、
つい、毎日のように買いにきてしまった!

実に情けない男だろう?



…君の気持ちを聞かせてもらえるだろうか?



私の気持ちなんて、そんなの…


はい…。
あの、私も!
杏寿郎様の事、お慕いしておりました。
以前から、ずっと…。



!!
それは、本当か?


は、はい…



私が言い終えるよりも早く、
杏寿郎様は私を横向きに抱き抱える。



き、杏寿郎様!?



ただでさえ、赤く染まっていた頬が、
もうゆでだこのようだった。



美玖、様などと、
そのように呼ばないでくれ。

杏寿郎と、そう、呼んでくれ!



…杏寿郎…。

小さな声で、
杏寿郎を見つめてその名を口にする。



美玖、
ずっと、そう呼んで欲しかった。

やっと聞けた。



そのまま、
杏寿郎の唇と美玖の唇が重なる。



っ…んっ…


重なり合った唇から、
杏寿郎の熱を感じ、
体温が上昇していくようだった。


次第に息が苦しくなって、

呼吸が荒くなり、吐息が漏れる。



んっ…ぅ…きょ、うじゅろ…ぅ…


もう限界がきた美玖は
堪らず、杏寿郎の名を呼ぶ。







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