第10章 継子 続
ー…
今日は、特に冷える。
当代炎柱である煉獄杏寿郎は
鬼殺の任務でとある山中に居た。
美玖、寒くはないか?
うっかり隣に声を掛けていた。
隣には、共に任務にあたる、
階級庚の村田が、
きょとんとした顔で立っている。
ああ、すまない。忘れてくれ!
つい、いつもの癖で美玖を呼んでいた。
普段は、同じ任務にあたっているが、
今日美玖は街の方へ行くよう指令があり、
別々の任務にあたることとなった。
出る前に別れも済ましたというのに、
普段の癖とは恐ろしいものだな。
お互いに励まし合い、
それぞれに任地へ向かったのは今朝の事。
怪我など、していないといいが…。
美玖は、
驚く程の実力を秘めていた。
女子の身でありながら、
どこからその力が出てくるのか、
全く、理解しかねる!予想外だ!
ともすれば、
柱と同等の実力を秘めているかもしれん。
本人はあまり自覚していないが、
入隊してから大した怪我もなく、
順調に任務を遂行している。
師範として、どれほど誇らしいか。
…さて、村田少年!
さっさと鬼を倒してしまおう!
すくっと立ち上がりそう叫ぶ。
あ、僕、少年じゃありません。
水柱と、同期ですから。
…よもやよもやだ!
では、村田君!共に行こう!
山の中へと駆けて行く。
…大体の検討はついていた。
山の奥にある、
古ぼけた神社へ到着すると、
本堂の奥に、
何やら蠢く影が見えた。
…!居た!
俺は、数歩前に出て声を発す。
鬼よ!そこにいるな!
俺は炎柱、煉獄杏寿郎だ!
今からお前の頸を切る!!
言い終わるのと同時に技を出す。
炎の呼吸 壱ノ型 不知火
轟音と共に、
神社は粉々に砕け散っていた。