第10章 継子 続
…!
大丈夫、まだ擦り傷程度だ。
ちゃんと見えた。
反応できた…!
私は、戦える…!
そのまま、技を繰り出していく
炎の呼吸 壱ノ型 不知火
またも、躱されてしまう。
鬼はその隙をついて笛を吹く。
私もすぐ様反応し、それを防ぐ。
炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねり
互いに技を出し合い、
互いの技を相殺していく。
実力は五分五分。
当然、長期戦となれば、
分があるのは鬼の方だった。
…ハァ…ハァ…
自身の体から、
ポタポタと血が滴り落ちる。
呼吸を保つのが辛くなってきた。
手に、力が入らない…!
あのまま、均衡状態を保ちたかったが、
私は、時間が経つほどに、
徐々に鬼の攻撃をくらってしまい、
また、体も疲弊して、
動きも遅くなっていった。
鬼が口を開く。
どうした?
もう、死にそうだな?
十二鬼月であるこの俺に
勝てるとでも思っていたか?
柱でもないお前なんかが。
そろそろ飽きてきたな、
もう、死んでいいぞ。
鬼が、笛を口元に添える。
…動け…!
死んでも動くの…!
まだ、柱は来ていない。
私が倒れたら、皆が…!!
なんとか刀を握るが、
握るだけでやっとだった。
師範…杏寿郎さん…
お願い…!
力を貸して…!
もう、これで恐らく最後の攻撃になる。
軋む身体を無視して、
呼吸を整え、技を出した。
炎の呼吸 参ノ型 気炎万象
空高く飛び上がり、斬撃を躱し、
そのまま鬼の頸目掛けて斬りつけた。
私が動くと思っていなかったのか、
鬼は、先程までより反応が遅れた。
ー…ザンッ…
ドサッ
私の一撃は、
鬼の頸を斬り落としていた…。
…やった…の?
そのまま、
私は…意識を手放した…。